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一級水系と一級河川の北上川(北上川の概要)
北上川は、本州の北部、東北地方最大の河川で、国土保全や経済上、特に重要な河川として国土交通大臣が指定、管理する全国109の一級水系のうちの一級河川です。
北上川は岩手県岩手町御堂の「弓弭(ゆはず)の泉」に源を発して岩手県を縦貫し、一関市下流の狭窄部を経て宮城県に入り、登米市津山町で北上川と旧北上川に分流し、北上川は石巻市北上町の追波湾で太平洋に注ぎます。北上川の流路延長は249km(全国第5位)、流域面積は約1万150平方km(全国第4位)の大河です。
旧北上川(34km)は迫川・江合川を合流して石巻市で石巻湾に注ぎます。北上川、旧北上川の河川名は昭和40年3月24日、新河川法の施行以来の名称です。北上川は日高見(ひだかみ)の国の川に由来し、ヒダ(蝦夷・えみし)、カ(場所)、ミ(その辺り)を指し、蝦夷が住む国の川が北上川に転訛したとされます。鎌倉時代に書かれた「吾妻鏡」に「北上河(川)」が登場します。

母なる川 北上川
岩手県と宮城県の2県にまたがる北上川流域には約132万人が暮らしています。日本書記には景行天皇27年、「東蝦の中、日高見国あり」と記されて、古くから住民の営みがあったことが知られています。古来から北上川は軍事や交易路として利用され、奥州藤原氏が築いた平泉文化に代表されるように、みちのくに繁栄と発展をもたらし、東北独自の文化圏が築かれました。江戸時代、仙台藩祖伊達政宗は北上川流域の開発に取り組み、宮城県北部から石巻までの間で舟運路の確保と新田開発を目的に河道の改修を行いました。
新田開発により仙台藩の石高は62万石から102万石となり、舟運の発達で流域各地に河岸や米蔵が造られ、今日みられる川沿いの街並みの礎(いしずえ)が形成されました。
一方、北上川の洪水は「白髭洪水」、「水まし」などと呼ばれ、特に県北部の登米郡や栗原郡は平坦地のために水害の常習地帯でした。明治以降は国と県の大規模な治水事業が北上川や支流で行われて水害は減少し、かつての氾濫原一帯が美田に生まれ変わり、宮城県を代表する穀倉地帯となりました。
北上川は幾多の歴史を生み、地域の社会や経済、文化を育んできた母なる川です。
北上川の豊かな自然と生態系
北上川は、石川啄木が「やはらかに 柳青める 北上の 岸辺目に見ゆ 泣けとごとくに」と詠んだようにヤナギが多い河川です。河川敷にはオニグルミやオオタチヤナギの高木群落が多数見られ、マルバヤナギ・シロヤナギ・ハンノキも見られます。低木にはタチヤナギ、草木群落はヨシ群落・オギ群落などが一般的で、河口では日本有数のヨシ群落が見られます。
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【植物】
・アカマツ・クロマツ・タブノキ・ヒサカキ・ブナ・モミ・ケヤキ・モチノキ・スギ・ヤナギ・クルミ・スズタケ・ススキ・ヨシ・ツルヨシ・シバ・ハマナス・ハマニンニク・ハマボウフウ・マルバシャリンバイ・スギナ・オオバコ・スイバ・ハコベ・クローバー・タンポポ・アケビ・ヒシ・ユズリハ
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魚類は北上川で38種類、旧北上川で24種類、エビ・カニ・貝類は北上川で13種類、旧北上川で6種類が確認(平成17年の河川水辺の国勢調査)されています。
シロサケは北上川を代表する魚種で盛岡市まで遡上が見られます。
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【魚類】
・シロサケ・サクラマス・ウグイ(オオガイ)・タナゴ・タイリクバラタナゴ・ヒガイ・ウナギ・コイ・ニゴイ・キンブナ・ゲンゴロウブナ(ヘラブナ)・オイカワ・モッゴ・アブラハヤ・カジカ・メダカ・ドジョウ・シマドジョウ・ナマズ・アユ・ワカサギ・カムルチー(ライギョ)・シラウオ・イトヨ・スナャツメ・クルメサヨリ・コノシロ・ボラ・メナダ(ミョウゲツ)・スズキ(セッパ)・コチ・ヒラメ・バス・マハゼ・マサバ・マルタ・シロウオ・トウヨシノボリ・ヌマチチブ・チチブ・ギバチ
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鳥類は14目30科112種類が確認(平成15年の河川水辺の国勢調査)され、南北に流域が広がる北上川は渡り鳥のルートとして利用され、下流域の宮城県の伊豆沼・内沼・蕪栗沼はラムサール条約(国際湿地条約)に指定登録され、コクガン、マガン(天然記念物)など多種の渡り鳥が飛来が見られます。
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【鳥類】
・コクガン・マガン・オジロワシ(天然記念物)・イヌワシ・ツル・オオハクチョウ・アオサギ・ゴイサギ・中サギ・ササゴイ・ヨシキリ・バン・カワウ・ムクドリ・トビ・キジ・カッコウ・ホトトギス・ウグイス・ヤマセミ・カワセミ・オシドリ・ヒバリ・ヨタカ・ハクセキレイ・アカゲラ・コゲラ・ツバメ・ヒヨドリ・モズ・シジュウカラ・ホオジロ・エナガ・カラス・スズメ・オオミズナギドリ・ウミウ・ウミネコ・カモメ
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北上川河口のヨシ原
石巻市北上町の北上川河口、約15kmから追波湾にかけた両岸でヨシ原群落が見られます。
中でも左岸約5.5kmは面積約80ヘクタール余りの汽水域としては国内最大規模のヨシ原群落が見られ、河口域の自然の豊かさの象徴となっています。
ヨシはイネ科ヨシ属の多年草で北海道から沖縄まで広く分布し、水中から窒素やリンを吸いとって地下茎に蓄えて高さ約2〜4メートルに育ちます。
ヨシ原は水流を緩やかにし湖岸の侵食を防止するほか、水辺の生き物の住み家や餌場、オオヨシキリをはじめとする野鳥の生息・繁殖地となっています。また、ヨシ原は水質保全の効果があり、付近に生息する微生物とともに水を浄化する自然のろ過装置といえます。
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○ヨシの水質浄化機能
・吸収同化作用 ヨシは水中から窒素やリンを吸収して成長します。
・酸素供給作用 ヨシの中空を伝って酸素を土中に運びます。
・硝化、脱窒作用 根の周りの微生物が水中の窒素を酸化・還元し大気に戻します。
・分解作用 茎や根の周りの微生物が水中の汚れを分解します。
○ヨシの利用
ヨシは古来より建築資材、萱葺き屋根、葦簀(よしず)の材料として利用されるほか、日常品では家具や楽器などに、また、葦ペン、ヨシ紙の文具類や腐葉土など新たなヨシの利用が生まれています。
○ヨシと生活
ヨシは刈り取りや野焼きなど、人間の手が加わることで丈夫で良質なヨシとなります。最近は屋根材料としての利用が減少するなか、平成14年、地域に「ヨシ原を守る会」が発足、ヨシ刈り体験や野焼きなどの活動を通じて良好なヨシ原の保全に努め、冬の風物詩となっています。
○ヨシ原のささやき 「日本の音風景百選」
川風になびくヨシ原は見えるはずのない音を感じさせるものです。
平成8年に「日本の音風景百選」に選ばれました。 |
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